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伐採ツアー in 群馬県下仁田町
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DEFの活動は、家を建てるだけではありません。
家を建てることを通じて、日本の森を健やかにし、守り、育てたいと考え、行動しています。
そして、体に入る水を守ることにつなげていきたいと思っています。
そして、話は変わりますが、一般的に住宅を建てる際の「どこのどんな木が使われているか」を施主が知ることはほぼないと言っても過言ではありません。
キノです@真面目モード。
木下邸もそうでした。材質はわかっていても、どこから来た木なのかは、今でもわかっていません。
ここで、「トレーサビリティ」という言葉、ご存知でしょうか?
【物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。 日本語では追跡可能性(ついせきかのうせい)とも言われる。】(出典:Wikipedia)
各種辞書サイトを調べても同様のことが記載されています。
DEFのウェブサイトにも少し記してあります。コチラ
2月5日(日)、木が水を吸わなくなるこの時期にしか体験できない「伐採」を新たにお施主様となる皆さまに体験していただき、実際に施工に使われる木がどこで育った木なのかをご理解いただくとともに、その森がどんな状態にあるのかを目で見ていただく、森林組合の方にお話を聞いていただく機会を設けました。
・自らの手を煩わせることで住まいへの愛着がわく
・どこの、どんな、どういう工程で加工された木なのかわかる
・日本の森の実状を知ることができる
一石三鳥のこのイベント、普段からいつも開催できる行事ではないことから、ご参加の皆さまも楽しみにしていた様子。自分の家の材になる木を自ら切ることができるだけでも、わくわくしますよね。
一方で、木こりさん、森林組合さん、そして製材所さんの皆さまが声を合わせておっしゃってくれたのが「エンドユーザーと話す機会なんて全く無い。顔が見れて嬉しい。」と、同じく楽しみにしていてくれました。
それを受け、お施主の皆様も「お仕事をしてくれる方々の顔が見れて安心しました。」と。
【告知】3月末〜4月頭に、木々が水を吸い始める時期のためギリギリですが、一般の方がご参加いただける類似のイベントを企画中です。あとは日程調整くらいなので、開催はほぼ決定。乞うご期待です。
ご協力いただいたのは、いつも群馬県エリアの製材をお願いしている下仁田の小井土製材所と、森林組合の皆さん。
予め小井土製材所さんが選んでくれた選りすぐりの杉の木。ピンクの紐が目印です。これを切り倒します。
森林組合の小井土さんが、この森についてまずお話くださいました。混乱させると思いますが、製材所も小井土さんです(笑)
「この森が植樹されて90年前後。おじいさんおばあさんの世代が植えてくれた杉が、ようやく使われるときがきました。最終的には全て切り倒し、また植樹し、人の手で森を循環させます。」
「循環」
そうです。
人の手で森を切るなら、人の手で植えるのが礼儀です。
ネイティブアメリカンの言葉で”We don’t own the earth. The earth owns us.(我々が地球を保有しているのではない。地球が我々を保有しているのだ。)”というものがあります。母なる大地。そこから全てを借りていると思っています。
いつか、この森で植樹イベントも開催したいなぁ、と。群馬エリアのお施主の皆さま、どうぞご参加くださいませ。
伐採が始まる前に、お神酒とお米とお塩でお祈りを捧げました。
まずはプロである木こりが斜めの切込みを入れます。ここにお施主様が水平の切込みをいれ、三角に切り取ります。
木の反対側にも切り込みを入れ、楔(くさび)を打ち込むと…
来たぞっ!
メキメキメキメキメキメキメキメキっっっっっっ!!!!!!!
ドッシャーーーーーーーーーーーン!!!
ものすごい轟音です。そして地響き。
以前、こんなことを聞きました。
「この轟音、木の最後のうめき声のようにも聞こえる。その生命をもらって家が建つんだ。」と。
こんなに急な傾斜地でも木は太陽に向かって育ちます。
切り倒すのは一苦労もふた苦労も。
木が谷に滑り落ちてしまうので、こういった場所ではワイヤーで吊ったりします。
そして、切り倒した木をすぐさま製材所の工場に運び込みました。
先日のブログでお伝えした「機械で切るプレカット」とは違い、同じ機械でも熟練の業を要する「木の目を見て」切る工法です。
↓製材したばかりなのに曲がってない?
いえいえ、製材後の木の曲がりを計算に入れ、どこに使う材かも考えているから、何も問題ありません。
この曲がりを利用した建築の考え方も、以前のブログに載せておりますm(_ _)m
図面を見ながら「ここに使う材になりますよ」(近藤所長)。
他には、「大黒柱に丸太をそのまま使いたい」というT様には、こんな方法で皮をはいで磨いていただきました。
水圧を利用します。その結果…↓
ツルツル!
ただし、小井土社長曰く、このまん丸の木を乾かすのは本当に難しいとのこと。燻煙してしまえば変色してしまいますし、他の角材と同じく数ミリ削ってしまうこともできません(ふだんは燻煙後、綺麗な色を取り戻すために表面を削ります)。これ一本しかありませんし、お施主様と一緒に伐採したとなると代わるものは皆無。いつもよりプレッシャーがかかりますね。
昼食の際、森林組合の小井土さんよりお話をいただき、近隣の森の実状や、森林組合のこれまでなどをお伺いしました。最近では、東京や神奈川のほうから、大学を卒業した若い方も採用することがあり、業界の人材も変わってきているようです。
製材所の小井土さんからは、木材の乾燥方法のお話や、DEFとの仕事は他とは違う工法で行うことなどをお話いただきました。とても話し好きの小井土社長、楽しく学べる点が好評です。
そして、当社小島常務のご挨拶で閉めさせていただきました。
日頃より、神出鬼没の小島常務。土地探しのお手伝いを担当している他、「循環学校」というタイトルで自然のこと、暮らしのことを考える会を開催しています。上にも出てきた「循環」という単語を組み込んだ勉強会(お話会?)。2月19日(日)には、東京の有楽町の交通会館でも開催します!詳細はコチラ
今回のような、両端をつなげるようなイベント、開催することができてたいへん勉強になることが多かったです。お施主の皆さまも、製材に関わる皆さまも、その両方から感謝され、DEFスタッフとしてもたいへん有意義でした。
多くの人の仕事、そしてその仕事の一つひとつが時間をかけて丁寧なこと、DEFの家づくりにはたくさんの思いが込められていることも再認識することができました◎
再度告知で申し訳ないですが、そんな現場を見てみたい方!3月下旬か4月初旬のスケジュールを空けておいてくださいね(^^)