土壁研究 -ぼくのべと修行 7ページ目-生活と土壁①
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さてさて、今日はもったいぶっていたネコヅタのお話を。
……の、前に宣言通りちょっと小話を。
八ヶ岳より急遽長野市に転勤してきた僕ですが、
たった二ヶ月半という微妙な期間ということもあり、
長野営業所の二階を間借りして暮らしています。
営業所に住んでるなんていうと、たいていびっくりされて、
かわいそうな子扱いされますが、そうはいってもDEFの営業所。
リフォームされている内装はもちろん自然素材なので、
僕としてはそこらへんのアパートを借りるよりいい感じです。
もとは大工さんの事務所であった二階建ての長野営業所は、
一階は唐松張りのフローリングの事務所スペース、
二階は畳の和室で、休憩室になっています。
で、僕が寝泊まりしているのはその和室です。
そんな和室や自然素材の家に住んでいる今ですが、
実は、かねてからやってみたいことがありました。
それは、これ、お茶殻を使った畳の掃き掃除と、
これ、お米の研ぎ汁を使った床のお掃除です。
お茶を飲み終わった後の茶殻を半乾きして、
それをたたみに撒いて掃き掃除をすると、
お茶の葉の吸着性や、湿気でごみが集まりやすくなります。
さらにお茶の抗菌・殺菌作用でより清潔になります。
また、お米のとぎ汁で床を拭き掃除すると、
お米のぬかに含まれている油分で、
床がしっとりするワックスの効果があります。
何気なく捨ててしまうようなものでも使いまわそうとする、
昔ながらの生活の知恵です。
このような、どんなものでも捨てずに最後まで使い切る事を、
京都の言葉では「始末(しまつ)」といいます。
お野菜の皮を捨てずにきんぴらにしたり、
古くなった着物を雑巾にしたり、おむつにしたり……etc。
僕は学生時代を6年間京都で過ごしたのですが、
その時にこの「始末」を知り、
いつか自分でも実践したいな、なんて思っていました。
ものを最後まで大切にするという意味で、
「始末」という心は、
なんだかとっても素敵なことのように思います。
学生時分に、実践したいと思いつつもできなかったのは、
暮らしていたのが普通の新建材バリバリの単身用のアパートだったから。
畳のない暮らしでは、お茶殻で掃き掃除なんていう始末はできないし、
樹脂ワックスやウレタン塗料でテッカテカのカッチカチのフローリングでは、
お米のとぎ汁をはじいてしまってあまり効果がありませんでした。
昔ながらの生活の知恵って、昔ながらの家じゃないと使えないのかな、と
京都の町家や寺社仏閣を訪ねる度に、なんとなしに考えていました。
ものを最後まで大切に使う始末の心。
ライフスタイルや建築のあり方の変化の中で、
忘れ去られてしまうのかもしれませんね。
実は、この始末の心は壁土づくりにも大きく反映されています。
そしてそれがネコヅタの名前にも関係してくるのですが、、、、
小話のはずが長くなってしまったので、続きは次回にしましょうか。。。笑
児童会長だったり学級長だったりしたせいか、
小話をすると長くなってしまいがちな、工事部の漆戸航でした。