土壁研究 -ぼくのべと修行 6ページ目-中塗り土
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ではでは、お待ちかねの中塗り土のご報告です。
中塗り土の材料は、前回お話しした通り、
粘土とネコヅタ(中塗りすさ)と砂、です。
小坂商会さんの中塗り土は、そこに一手間二手間、
創意工夫が盛り込まれてます。
まずはなんといってもこれ!
この茶色いクリーミーでとろっとろの液体は、いったいなんだと思いますか?
……いえいえいえ、チョコレートではございません。
これはそう、水を多めにじっくり練った粘土です。
粘土自体は荒壁に使うものと同じもの。
水を多めに、約半日ほど練り続けると、この状態になります。
(ちなみに荒壁は練っても15分ほどです)
このチョコレートのような土を小坂商会さんでは「ネバ」と呼んでいます。
(おそらく、「粘土」→「ねばつち」→「ねば」)
このネバをベースにして中塗り土ができていきます。
ここにネコズタを二袋加えて撹拌します。
ネコズタがしっかり混ざったら、次は砂が入ります。
このベルトコンベアで砂が運ばれるのですが、ここにちょっとひと工夫。
実はベルトコンベアと篩(フルイ)が連動していて、
砂は運ばれると同時にふるいにかけられます。
こうして肌理のそろった砂が、ネバとおおよそ1:1の割合で混ぜ合わせられ、
練りあがったら、中塗り土の完成です。
そんなこんなでできる中塗り土は、完成後すぐに直接ダンプに載せられ現場へと出荷されます。
荒壁土は何週間かストックしたものが出荷されますが、
中塗り土は出荷の直前や前日に練られたもが出荷されていきます。
***
文章にしてしまうとすごく簡単にも思えますが、
僕の感想としては、中塗り土を練るのは荒壁土の何倍も難しいです。
単純に荒壁土より行程が多いというのもその一因ですが、
なんといっても分量の見極めが難しいのです。
例えばとろっとろのネバですが、僕の目には同じに見えても、
まさこさんの目から見るとやや硬い、なんて指摘が入ったりします。
ですが柔らかすぎるともちろんだめで。。。
また砂も、単に1:1といっても、その時のネバの状態、分量で、
微細な調整が必要になります。
僕がこんなもんかなーと思っても、
まさこさんから、もうちょっと砂入れてと指摘がはいったり。。。
うーん、なかなか奥が深くて難しい。
荒壁土は一人で練っても大丈夫なようになりましたが、
中塗り土はまだまだ修行が必要で、
まさこさんに監督をお願いしてしまっています。
***
小坂商会さんにお勉強にきて早1ヶ月、
長野の寒い冬が近づいてきました。
水をたくさん使う壁土工場は毎年冬が本格化して凍ってしまう前、
12月中ごろに一度店じまいとなってしまします。
僕の修行もそれまでです。
はじめは二か月半という期間が長すぎるようにも感じていましたが、
今となってみると、なかなか期限が少ないような気も。。
ちょっと一層気を引き締めて、べと修行がんばりたいと思います。
こどものころ、長期休みの宿題の絵日記は、
休みの終盤にまとめてがーっと書いていた、
工事部の漆戸航でした。
(土壁日記の更新もがんばりますっ)