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アトリエDEF通信

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伝統の瓦の魅力

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なかがわ
湘南オフィス

少しご無沙汰しておりました。工事課湘南営業所の中川です。
今回は瓦について現地レポートです。
他のスタッフも同様に記事にしていましたので、もし興味あれば「DEF 藤岡瓦」で検索してみてください。
以前こちらでも瓦屋根については書きましたが、今回は生産現場から。

工事課では月1でメンバーが集まり(時にオンラインで)ミーティングを行っていますが、今月はその後、藤岡にある瓦の生産者である共和建材さんに見学でお邪魔してきました。
たまにそうしたお付き合いのあるメーカーや職人さんの現場に赴き、勉強会を行っています。
「藤岡瓦」は東日本では元々有名な瓦の産地で最盛期は50軒ほどの瓦屋さんが軒を連ねていたそうですが、今ではこちら1軒のみという状況だそうです。

こちら工場の横に山になった原料となる土。
土といっても粘土、川の砂、畑の土がある割合の配合されたものです。
上州藤岡は利根川水系の神流川などが作り出した扇状地で、ちょっと掘れば良質な粘土層があり、他の原材料も採取しやすい地の利があったため東日本の瓦の産地となったようですが、前述したように今ではこちら共和建材さんのみ奇跡的に生産を続けています。
近隣の土地から集めた素材で生まれる、文字通り「地産」の瓦と言えます。

3代目の五十嵐代表。ジーンズに頭のタオル巻が格好いい!
会社の代表で、生粋の職人であり、アーティストでもある五十嵐さん。
東京都美術館で花道とコラボした作品などが企画展で見ることができます。
氏の背後に焼かれた瓦とユニークなフォルムの・・・?

ユニークなフォルムの古墳の入口。
ではなく、これが瓦を焼く「達磨窯」(だるまがま)、です!

焚口のほうから。
五十嵐さんの職歴とほぼ同じく、半世紀使い続けている窯だとのこと。(ジブリ感)

窯の中の様子。焼かれる前の瓦が整然と並べられています。焼かれる前はきれいな薄めのアイボリー色。焼かれたあの独特な光沢の黒は、窯の中で蒸し焼き、燻されて色がつくそうです。
「釉薬の色ではなかった!?」と驚きでしたが、この瓦工房では希少な「無釉」つまり釉薬を使わない素焼きの瓦も生産してます。
下の写真はその瓦をドラム缶の水に浸けるbefore after

さて、この2枚の写真、何か違いお気づきなりましたか?
瓦を持つ工事課H君には気をとめないでください。※手品ではありません。普段より笑顔の輝きが強いのは陶芸やっていたためか。
動画だともっとわかりやすいのですが、すみません。(容量大きくて写真にしました。)
無釉の瓦は水に浸けるとプチプチ音をたてながらサーっと水を吸い込み、色が濃くなり艶がすぐにでます。吸水率は12~13%とのこと。
瓦には雨から建物を守るという役割がありますが、それは釉薬有無しで変わらないそうです。

こちらは焼成しているとき五十嵐氏を撮った1枚。頂いた名刺に書かれていた肩書に「炎の匠」と、この写真見て100%納得です。
24時間約1000度で焼くそうです。なんだか炎や煙の形まで何かに見えてきます。
焼いた後の瓦は1割縮み、どうしても均一な変形にはならず、その違いによって呼び名も「ばあ様」「じい様」(腰が曲がったような反り、ムクりから?)「天神様」と色々あるそうで、その違いを並べる配置や葺き方で活かすのが瓦葺き職人の腕なんだとか。
写真が置かれた左下の鳥らしき物。こちらも瓦で、棟に配置し「ハトムネ」縁起物で、とお話しは興味深い内容ばかりでした。
さらに匠の持つこの二股の道具。
昔話に出てきそうですが、ただ一人作っていた職人さんはもう亡くなられてしまい今では生産されていない道具です。
こうした専用の古い製造機械も修理できる所はまだ1か所あるそうですが、何れにしても故障や調子悪くなったときは大変なことは想像できます。

話は無釉瓦に戻りますが、「古色」とも呼ばれるその伝統的な製法は現代では珍しいものになり、数は瓦全体の生産数からすれば極僅かですが、今でも一般住宅から、特に文化財の補修で色味や風合いが近いため採用されるそうです。
この瓦を用いた建設中の住宅(無釉と釉薬有の混交)にお邪魔したところ、中はとてもひんやりとしていました。
6月初旬3時過ぎ、午後はよく太陽出ていましたが、昨日降った雨が瓦に残り、陽に照らされながら徐々に乾いていく。気化熱の発散は緩やかに長く作用し、建物内の湿度と温度の調整に大きく影響しているようです。
そんな実感から伝統の瓦屋根はそれ全体がまるで木々が生い茂った山のように思えます。或いは土本来の機能のある屋根ということなのかもしれません。

瓦についてはまだまだ知らない、知りたい!ことだらけなので、勉強できましたら記事にするかもしれません。それでは失礼します

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