アトリエDEF通信

【１日目｜大黒柱 ふるさとの山で伐採】

長野県東御市で今春着工するＴさま邸の伐採ツアーに参加しました。伐採ツアーはお施主さま邸の大黒柱を、その木が生まれ育った山まで足を運び、お施主さま自ら切り倒していただきましょう！という、アトリエデフ恒例のスペシャルなツアーなのです。１月の伐採ツアーに引き続き、今回の採取地も岩手県一関市の山中となりました。現在、この山は全伐作業中だそうで、１月の訪問時と比較すると、着実に奥へ奥へと作業が進んでいる印象でした。

さて、Ｔさま邸の伐採木は、事前に設計のしゅうご君からKURIMOKUの杣木さんにサイズが伝えられており、伐採ツアー当日までに木こりさんが伐採木の選定をして下さっています。足元の悪い泥道を進んだ先に、Ｔさま邸の大黒柱とかる大きな杉の木が待ち構えていました。真っすぐ、高く、高く伸びる、実に美しい杉の木です。木の神様、山の神様に感謝の気持ちをお伝えすると、KURIMOKUの大内さんからチェーンソーの使用説明が行われます。作業安全に関わる重要な要素なので、それは入念に、丁寧に説明が行われていました。

この頃、吹雪いていた空が晴れはじめ、一帯は午後の西陽が差し込む、幻想的な雰囲気に包まれていきました。上空の強風を気にしつつ、木こりさん判断の下、伐採作業に着手します。チェーンソーなんて、このような機会がないと触れるものではないですよね。エンジンを上手に始動させたら、サクサクと太い幹に刃を滑り込ませていきます。Ｔさまご夫妻で交代しながら、伐採作業は手際よく進んでいきます。いつものように最後はクサビを差し込んで、追い込みの作業を進めていくと「バキバキバキ・・・ドゴーン！」と地を揺らす轟音とともに、杉の大木は倒れ込んでいきました。

定番の記念撮影時には、粉雪が舞い散るコンディション。ちょっと神々しい雰囲気に写真が撮れ、KURIMOKU広報の高橋さんとニンマリしました。後方に長く伸びるこの大きな杉の木が、Ｔさま邸の立派な大黒柱になっていくのですよね。何度立ち会っても、本当に感動する瞬間です。記念撮影が終わって現地を離れるときには、改めて森全体を見回していただき、心の中で「ありがとう」を呟いていきます。

冷え切った体を温泉で暖めた後は、KURIMOKUさんの宿泊施設で仲良くお夕飯です。山の保全から製材・乾燥まで、日本でも珍しい一貫した品質管理体制で、アトリエデフに木材を提供してくださるKURIMOKUさんは、なんとお夕飯のときも一緒に盛り上げてくださいます。地元のお米、お野菜、海鮮、そして日本酒を楽しみながら、今日のことを振り返りつつ、木材の本質に迫るアツイお話も聞けてしまう、実はとっても大切な時間なのです。

【２日目｜KURIMOKUさん 本社工場で製材見学】

みんなで朝ご飯を食べた後、杣木さんのご案内でKURIMOKUさんの本社工場（宮城県栗原市）へ向かいます。昨日、山からいただいた伐採木が待ち構えており、早くも大黒柱として製材されようとしています。当日の杣木さんは気合いが入っていました。KURIMOKUさんが誇る一貫管理体制を丁寧に説明してくださっています。山の保全だけではない、木の性質を理解しながら乾燥工程にも拘っていること、乾燥に用いるエネルギー源も場内の木くずを集積して確保していることなど、それはまるで『KURIMOKU大辞典』の読み聞かせのようでした！！

伐採木は昨晩のうちに工場に届けられており、早くも製材ラインにセットされていました。大黒柱となる芯部を捕えながら、ゴロン、ゴロンと回転させながら、スムーズな４面カットで角柱へと変化していきます。今は機械でカットできるけど、機械なんてない昔は、大工さんが大きなノコギリで寸分狂わず、墨に沿って切り刻んでいたのでしょう。そんなことを考えながら、私も遠巻きに見学していました。

４面カットが終わるとフォークリフトで搬出されて、桟木の上に静かに据え置かれます。目出度く大黒柱の形になりました。近くに寄って触れてみると、なんと瑞々しいことでしょう！地中の水を吸い上げて、山で真っすぐと自立して生きていたことを、肌で感じ取ることができます。こちらでも、大黒柱を囲むように記念ショットをいただききましょう。カメラ目線、どうもありがとうございます！

大黒柱に心のこもったメッセージを書き込むシーンも定番ですね。これから燻煙乾燥、そして自然乾燥工程を経て、Ｔさまのお家が建つ長野県東御市まで大黒柱がやってきます。２日間の伐採ツアーは、岩手県一関市、そして宮城県栗原市を舞台に、濃密な時間の中で心に残る思い出となって、無事に終えることができました。Ｔさま、改めて遠路はるばるありがとうございました。そして、いつも温かくお迎えくださるKURIMOKUの皆さま、ありがとうございました。いよいよ着工まであと少しです！！