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群馬だより〜国内残数「2」。そのうちの1つ。 in 藤岡
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更新が遅れていた3月末頃。
はい。遊びすぎてブログのことはそっちのけでした!
キノです(^^)/
さて、遊びに行った先で作られているのがこちら。↓
はい。群馬県藤岡市。
藤岡市はかつて、屋根に乗せる「瓦」の産地として有名でした。
そう。藤岡瓦。いぶし瓦として有名ですね。
粘り気の良い粘土質の赤土が存在し、良質の瓦を焼くことができたからです。
しかし、市内に70件ほどあった瓦屋さんは、いまでは1つ。
瓦を焼くかまどの燃料としてガスを使ったことでコストが上がったことなどをはじめ、さらにいくつかの時代背景も重なり、その数を減らしていきました。
今回お話をお伺いしたのは、この方。藤岡瓦を継承し制作している最後のひとり、共和建材(有)の五十嵐さんです。
「だるま窯」を用いて、いぶし瓦を焼くのは国内で2箇所のみ。そのうちの一箇所が五十嵐さんの共和建材さんです。
これがその「だるま窯」。↓
横には大人1人くらいの大きさのスリットがあり、そこから瓦を窯の中に並べていきます。
瓦を焼くための燃料は全て、木。建築端材や薪がたくさんありました。ガスは使いません。
火を焚き、中に入れた瓦をじっくりと熱します。二日間つきっきりで。
昨今の大量生産に見られる製法では、急激な熱し方をするため、半日ちょっと焼くそうです。
あれ?
この話し、木材でも聞いたことありますね。
高温乾燥と低温乾燥。気になる方は、DEFのこのページをご覧ください。
工業製品のように機械的に作られた瓦との比較は、水に浸して行います。
さて問題です。
水が染み込む瓦、染み込まない瓦、どちらが藤岡瓦でしょう?
正解は…
「水が染み込むもの」が藤岡瓦。
瓦も原料は土。
土壁と同じく呼吸するのです。
「生きている瓦」は水を吸うのだそうです。
木材も同じです。乾燥を高温で行えば、無理が生じて木の繊維が壊れてしまうのです。木が本来持つ強さを失うのです。
奈良には、同じ製法で作られた1200年前の瓦が今もなお使われている社寺があるそうです。
強い。
そして。
1度の窯に入る瓦の数は、1,000枚。
大量生産とは無縁。
でも、効率化しないそうです。
「生きている瓦なんだから、色合いの差があって当然だし、その出来栄えの差があるからこそ、『これは美しい!よくできた!』と思える。それが楽しい。」と五十嵐さんがおっしゃっていました。
納品の際、日本全国、いえ、世界中に五十嵐さん本人が運ぶそうです。
「自分で作ったものだから」、と。
後継ぎはいらっしゃらないそうです。
もう弟子も取らないそうです。
でも、少し前まで滑り込みセーフで弟子入りしていた方が、近々故郷でだるま窯を作るそうです。
気さくに話してくれる五十嵐さんの姿を見て、その背景を聞いて、何度も胸が締め付けられるような思いになりました。
DEFもガルバリウム鋼板の屋根の家をたくさん建てています。
もちろん金額面で瓦とガルバリウムでは差が出ます。
重たい瓦をささえる構造(設計)にも。
名だたるお店にも納品している五十嵐さんの芸術品ですから、それなりにお値段もするでしょう。
でも、こういう話を聞くとちょっと立ち止まって考えてみたくなります。
金額面だけでなく、「屋内の涼しさ」に目を向けてもけっこうな差が出るそうですよ。
瓦の形状からしても空気層が屋根との隙間にできますし。
生きている瓦なら、呼吸しますし。循環です。
なにより、原料は土ですから朽ちても土に還りますね◎
携帯の待受にしたくなるような鬼瓦。
これを作る「鬼師」という職業があるのも今回初めて知りましたm(_ _)m