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アトリエDEF通信

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アーツアンドクラフツ

漆戸
関東営業所

 

「創造と労働が同じ水準におかれていて、人々が日々の労働によろこびを感じていた理想の時代」*

大学にいた頃、受講したデザイン史の講義の中で、19世紀イギリスの思想家ジョン・ラスキンの著書「ヴェニスの石」の内容について触れたこの一文が、深く心に残っています。

*ウリィアム・モリス

 

このジョン・ラスキンの思想は、19世紀イギリスでの産業革命による、大量生産を得意とする機械文明に対し、異を唱えるために始まった、ウィリアム・モリスのアーツアンドクラフツ運動の礎となりました。

機械により排斥された人の手仕事の喜びを取り戻すこと、日々の労働が創造の喜びに包まれたかつての時代を復興することを志したアーツアンドクラフツ運動は、今日のデザインの潮流の源泉となっています。

*モリスのパターンワーク

 

なんとなく、デフにいたらそれに近いものに触れられるような気がして、私はこの会社にのこのこやってきてしまいました。

そしてその勘が、けっして間違いではなかったように思う場面が多々あります。

例えば、大工さんと話をしている時。

先日上棟をしたさいたま市の現場の大工さんは、今回の建て方が久しぶりの手刻みとなりました。

普段の仕事はプレカットがメイン、デフからの依頼での手刻みの仕事で、昔の勘を取り戻しながら、建て方まで時間を目一杯かけつつも、丁寧な刻みをしてくださいました。

建て方から数日、加工場で話をしていると、

「この仕事はすごく面白いね。」

と、うなずきながら漏らしていました。

 

また、例えば、薪ストーブの作り手さんと話している時。

美味しいパンを焼くために始めたクッキングストーブづくり。

何年か続けるうちに改良して美味しいパンが焼けるようになったこと、そのストーブから生まれる楽しい冬の暮らしのことを聞くと、こちらまで嬉しい気分になります。

 

完成した家を見ても、感じるものがあります。

吹きガラスでできた照明からは、わずかなゆがみから、作り手の息遣いが感じられます。

左官で塗られた壁からは、職人さんの手仕事のあとが伝わってきます。

 

決して機械の工業製品ではないデフの家は、時には手仕事の際の、キズやムラやユガみがあったりしてしまいますが(職人さんも私共も気を付けてはいます、ごめんなさい。。。)、そこには生きた人の面影があるような気がします。

ラスキンやモリスが目指した、創造と労働が同じ水準にある喜び、とやらは、こういう事なのかもしれません。

 

しかしながら、実はアーツアンドクラフツ運動は自己矛盾により失敗しています。

手仕事とその洗練により、工業製品との価格差が大きくなり、一部の富裕層のものとなってしまい、大衆の人々の手に届きづらいものとなってしまったためです。

 

一方、デフではなんとかバランスを取りながら、価格を抑えられるように、社内での工夫や話合い、職人さんとの交渉に努めています。

 

より多くの人の元に、安心で安全で、生きた人の喜びのある家が届けられますように。

そういえば明日は七夕ですね。願いがかなうといいですね。工事部の漆戸航でした。

*阿部公正,世界デザイン史,美術出版社,p24-p26

 

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