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建築士の試験で思うことと、その勉強法。③(最終回)
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今まで過去2回にわたって、建築士の試験について思うことを書いてきましたが、今回で最後にします。(というかダラダラ書きたいこと書いてる感じになってしまってきているのでちゃんと終わらせようと思った。)
結局何が言いたいのか、書きたいのか全然わからなくなってしまっていたのだけれど、今回書こうと思っているのは設計製図の試験の事。
前にも書いたように建築士の試験は、
学科試験受ける→合格→製図試験受けれる→合格→建築士の資格取得!!
ってなります。
そして今回書きたいのが、設計製図試験の事。
概略は以下です。
設計製図の試験というのが、10月の上旬ころに行われます。
例えば、美術館とか、図書館とか、お題が7月末ころに発表されて、そこから2ヶ月ちょいで試験に向けて勉強していきます。
試験日はあたりまえなのかもしれませんが、1日です。
時間で言うと、11:00~17:30の6時間30分。
これが長いと思うか、短いと思うかは微妙ですよね。
試験時間としたら長いんでしょうね。問題数も1問?だし。
でも、設計時間としたら短いですね。確実に。
敷地の条件等や形、課題の要望等の読み込みから、ボリューム選定、エスキース、ゾーニング、作図を6時間30分でやるって、普段の業務であれば、ありえないスピードですね。住宅でもそう思うのに、一級建築士の課題はだいたい図書館、美術館、ホテル等なので、時間との戦いですね。
書き終わるかどうか?という部分で蹴落とされてしまう人も多いのではないかなと思う。
自分もギリギリ書き終わった感じでしたが、受かる自信は皆無でした。できなかった事ばかりや、ミスしてしまった所ばかり思い浮かび、確実にオチたなっと思っていた。
でも、受かっていた。なぜ受かったのか未だにわからない。
それは「結果」のみが伝えられ、採点された図面が戻ってくるわけではないから。
それは「不合格」の人も一緒で、採点された図面が戻ってくるわかではないので、たぶんココがだめだったんだろうなという場所を見直し、次の試験に備える。という感じになる。
まず、ここが不親切。
何が悪かったのか振り返りたいよね。
あと、時間で振り落とすのはいかがなモノなのか。
そこが建築士に求められている能力なのか?なぞ。
早くてパパっとできる人。それを国が望んでいるのだろうか?
もちろん、ある程度は段取り良くモノゴトを進め、効率よく何事も為す力は必要なのかもしれないけれど、あの試験から感じるのは、その項目が必要項目ではなく、必須項目になってしまっているのも、???が浮かぶ。
なぜ手書きの試験なのか?
今、ちまたでほとんどの建築図面はCAD化されパソコンで
書かれているものが、ほとんど。
なぜか?
それは早く書けるから。
間違えてもすぐ直せるから。
細かい部分も鮮明に表現、図示できる。
誰が書いても同じ線、同じ仕上がりになる。
データ管理できるので、印刷・コピー・編集もすぐできる。
そんなところでしょうか?
(もちろん建築士で手書きのみで図面を書かれている方もいます。
そして上記の理由を覆す力を持っていますし、書くスピード・精度も尋常じゃない。)
今勤めている会社でも最終的な実施図面は細かい部分も増えてくるので
CADで書く。
ただ第1案の図面は手書きの図面でイメージを伝えやすくできるようにしている。
手書き独特の暖かさや表現等は逆にCADの図面では書き出しにくい部分なので、そういった部分を大事にしている。
なので書く建築士ごと微妙に図面の表現が違ったりもする。
下の写真はその手書きの時に使う、平行定規とその仲間たち↓
下の黒い部分が定規で上下に平行移動し、そこに三角定規をあて、当たり前ですが線を一本ずつ書きます。
けっこう途方もない作業な感じがしませんか?
ただ、こんなアナログな書き方ですが、建築士試験(1級、2級、木造)全てで、この製図を、この定規を使い書いている。
なんで実務でほとんど使わないのに、試験は手書きなんだ!!と
いう事があちこちから聞こえてきそうですが、
建築士に必要な技能として、手書きの図面を書ける能力を求めています。
これがないと資格取れないですから。(CADじゃ試験もできないでしょうし・・・)
手書きの能力をみるのも大切。
あとは、そこからどんな建築士を世に出したいのか?
どんな国にしていきたいのか?
そういう責任が建築の資格を持っている人というか、建築の仕事をしている人にはあるんじゃないかなって思う。
家を作ることは、町並みの一部を作る事。
町並みを作るという事は、その地域の一部を作るという事。
その地域を作るという事は、その文化の一部をつくるという事。
こう考えていくと、日本とは…
っと考えてしまう。
自分たちの、子どもたち、孫たちに恥ずかしくない日本という国を残していきたいものです。
ご拝読ありがとうございました。
まる。