土壁研究 -ぼくのべと修行 3ページ目-おさらい

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さあ、いよいよ肝心の壁土づくりについてのご報告。
……の前に、ちょっと今までのおさらいを少し。
まずは荒壁土について。
![IMG_0855[1]](https://a-def.com/wps/wp-content/uploads/2014/07/IMG_08551-400x308.jpg)
荒壁土は壁の下地に一番最初に塗る土です。
水と粘土と藁と混ぜ併せてつくります。
実は小坂商会さんに修行に来る前に、DEFでも試行錯誤しながら、
荒壁土をつくっておりました。
しかも大きな機材に頼らず、人力で。(その様子はこちら)

粘土を水で練って、

そこに藁を短く切ったものを加えます。

粘土が固まるのは、なんとなくご理解いただけるかもしれません。
では、なぜ藁が必要なのかというと、これは土の「繋ぎ」です。
簡単に言うと、ハンバーグをつくるときにお肉に加える、
卵や小麦粉のようなモノが藁なんだと思ってもらえばいいかもしれません。
カチカチに固まった土の塊はばらばらに割れてしまうもの。
そこに藁の繊維が絡むことで、それらがひとまとめに、がっしり固まります。
日干し煉瓦づくり体験をされた方はわかるかもしれませんが、
その土にもたくさん繊維状のものが入っていたと思います。
(ちなみに日干し煉瓦に使っているのは中塗土。詳しくはまた後日ご説明いたします。)
荒壁土の塗り立てはこんな感じ。

ですが乾くとこんな風にバリバリにひびが入ります。

それでも土が剥がれ落ちないのは、藁がたくさん入っているからなんです。
藁がないと、パラパラとくずれ落ちてしまいます。
だから、単に壁土やべとと呼んでいますが、土に加えてこの藁の働きがとっても重要なんです。
この藁のような壁土の繋ぎを「苆(すさ)」といいます。
(こちらの方の方言では、なまって「つた」と呼ぶようです。)
調べたところによると、藁でなくても、植物の繊維なら何でもいいようです。
(H君の実験はかなり的を射ていたようですね!)
ただ、稲作文化の我が国日本。
お米を取った後の藁の有効利用として苆に使われたようです。
加えて、藁苆を使った壁土の方が、
ほかの植物を使ったものと比べて、強いものになるんだとか。
さらに、土と水と藁を合わせて練ったものはしばらくすると発酵します。
どうも一種のバクテリアが発生して発酵作用を起こしているらしいのです。
(壁塗り体験をされた方はご存じかもしれませんが、いい香りがしましたね。
……誰が何と言ってもいい香りですね、ええ。)
このバクテリアが植物成分を分解することで、藁が柔らかくなります。
そうなることで、壁に塗り付けやすくなります。

さらにバクテリアの働きで、粘着性のある糊の働きをする成分が作り出され、
土壁をより丈夫にしてくれます。

なんだかとってもすごい藁の役割!
DEFでも藁の多い土と少ない土で試したところ、大きな違いが出ました。

これは乾燥途中の様子。
少ない方は途中からでも割れが大きく、ちょっともろかったです。
(そうかといって、全く割れないのもダメなんですけどね。詳しくはまた後日。)
藁の多い土壁の方はとっても丈夫です。
土と水と藁。
なんだかDEFがやってきた、お米作りなどの暮らしづくりの提案と、
昔ながらの家づくりの提案が直接結びつくような、不思議な感じ。

むしろ、昔はちゃんと結びついていたはずなのに、
今がかけ離れてしまっているだけなのかもしれません。
きちんとつなげてあげることで、あるべき姿が見えてくるかもしれないですね。
口ではでっかいことを言いつつも、言動と実力とがかけ離れ気味な、工事部の漆戸航でした。
これもいつかはつなげたいですね。。。
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*参考文献:佐藤 嘉一郎・佐藤ひろゆき『土壁・左官の仕事と技術』学芸出版 2001.2.20発行






