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「YAKISUGI」という選択肢

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なかがわ
湘南オフィス

こんにちは。
最近黒色に惹かれている工事部の中川です。
単に「黒」といっても色々な黒がありますね?
先日テレビで、パリを拠点に活動する日本人アーティストが光を吸収するマットな黒を表現するためにキャンパスから手作業で行っていて、その吸い込まれるような黒に驚きました。
ピアノの黒い光沢の塗装も日本の漆器をヒントにああなったとか。髪の色、醤油の色、硯でひいた黒墨など、日本人にとって多様で特別な色なのかもしれません。
私は部分白髪をどの黒で染めるか悩み中です。

ところで「YAKISUGI」との文字列から何が思い浮かびますか?
焦げたトーストや餅?ではなく、

ここでは外壁などで使用する「焼杉」をあげます。
独特な黒がいい感じです。写真は白馬村のT様邸の外観。周囲の緑の中でより映えます。

ここ数年「YAKISUGI」は「TERIYAKI」や「SUKIYAKI」と並んで?世界で通じる日本語の一つになっている、とまでいかないかもしれませんが北米を中心に流行りだそうです。
元来は西日本の町屋などを中心に継承されてきた日本の伝統技法ですが、国内の建築家や意欲的な工務店(←D社含む)が住宅や商業建築に多く採用し始めて早20年は経ちました。
海外の目もまた一つ、日本の伝統の黒の魅力に気づき始めたのかもしれません。

自然素材で作られるDEFの住宅の外壁にはいくつかの選択肢がありますが、外壁に板を貼る場合、多くが天然成分由来の保護塗料を塗って木の地の色を活かすものが多いのですが、年に1棟あるかないかの頻度で「焼杉」も採用されます。

「焼杉」は字の通り杉の板の表面を焼いて炭化させ、雨や菌、虫などによる腐食から炭化していない層を覆い、家全体を守るための建材です。

こちらは鎌倉のリフォーム物件。土地柄、特に海から直にうける塩害や湿気の心配もあるのでオーナー様もそうされたのだと思います。
この冬に完成したばかりですが、既にいい風合いになりつつありますね。

焼杉にも実は色々ありまして、まさに表面が炭化した炭!といった感じのものから、この家のようにブラシで表面の比較的柔らかい部分をサッと擦りとったもの、さらに塗料を重ねたものなどあります。
それぞれテクスチャーが違ってどれもいいですね。
上の写真からも確認できるように陽の当たり方でもかなり印象が変わってきます。

上の物件のアップ写真。
ブラシで擦りとった薄茶に見える箇所は「夏目」といって杉が春から夏にかけて太陽と水をたっぷり得てすくすく育った箇所で炭化しても柔らかいので炭化層も落ちやすく、
逆に「冬目」が黒く筋で残っている冬季にゆっくりと育った部分(年輪の線で見える)です。
杉はこの「夏目」と「冬目」の硬さの違いが大きいため「浮造り」や「焼杉」に向いている素材なのでは?と思います。

なぜ「焼ヒノキ」や「焼ヒバ」などがないか?上の特徴と経済的な理由以外にもありそうですが、、

この柔らかい部分が少しずつ風化することによる凹凸や色味の差で木目が際立ち、経年の過程で味わいが増していくことになります。自然素材ならではの良さでしょう。

実は施工サイドからすると手や服が黒くなって大変なんですが、とは施工した大工さん談。
それでもぜひ!という方はご検討ください。

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