「教育移住」も増加中!軽井沢・御代田エリアの気になる小学校事情
軽井沢町をはじめ、お隣の御代田町などでは、この数年、単に自然豊かな環境でのびのびと子育てをしたいというだけでなく、ここでしか経験できないカリキュラムや独自の教育方針を持つ学校への「教育移住」が増えています。子育て環境や教育環境に恵まれた環境を求める家族連れが、この地に移り住む事例が増加しているなか、軽井沢・御代田エリアの小学校事情はどのようになっているのでしょうか。
軽井沢町の小学校の特徴
軽井沢町には、現在、私立小学校が1校と公立小学校が3校あります。
公立小学校はエリアごとに学区が分かれており、2020年4月に開校した私立の軽井沢風越学園は風越公園のすぐ近くに立地しています。
< 軽井沢町の小学校 >
(出典:学区マップ)
西部小学校 | 中部小学校 | 東部小学校 | 軽井沢風学園 | |
1年生 | 64名 | 84名 | 20名 | 28名 |
2年生 | 74名 | 91名 | 20名 | 27名 |
3年生 | 64名 | 81名 | 31名 | 27名 |
4年生 | 54名 | 90名 | 22名 | 29名 |
5年生 | 68名 | 79名 | 24名 | 29名 |
6年生 | 53名 | 74名 | 24名 | 22名 |
※公立小学校は令和5年4月1日、私立小学校は令和6年4月1日時点
なかでも軽井沢西部小学校は、最近5年間で児童数が約60人増加するなど、注目を集めています。今年度に入り、1年生がついに3クラス編成になり、児童数の増加に対して教室が不足しており、現在は仮設のプレハブ校舎で授業が行われています。
今後も生徒数の増加が見込まれることから、新教室棟の建設が計画されています。新たな教室棟建設に際し、長野県教育委員会が提唱するNSDとFLAという革新的なコンセプトが取り入れられました。NSD(長野県スクールデザイン)とは、校舎そのものの設計デザインを見直す取り組みで、小諸市の新設校である小諸義塾高校がその先駆けとなっています。
一方、FLA(フリーラーニングエリア)は可動式の壁を用いて、1階部分全体を多目的な学習スペースとして自在に活用できるようデザインされています。従来の固定的な教室構造を打破し、放課後子ども教室やさまざまな学習活動に柔軟に対応できる自由な教育空間を実現できるデザインです。
私立校である軽井沢風越学園は、幼稚園児から中学3年生までの12歳の年齢差がある混在型の学校です。「子どもこそが作り手」という考えのもと、子ども自身の問いから生まれた「探究の学び」を大切にしています。12年間という長い期間を通して、子どもたち自身がつくり上げる経験を重ねていくのが特徴です。年齢差のある児童生徒が共に学ぶことで、より深い探究心が育まれると考えられています。2023年度の義務教育学校(1年生から9年生)の倍率は約3.4倍と、開校4年を迎えてもなお根強い人気を博しています。
また軽井沢町では、タブレット1人1台の環境による「ICT授業」を、町内すべての小中学校で2019年2月より開始しており、オーガニック給食の取り組みもスタートしています。
● 参照コラム:待機児童ゼロ+ICT授業開始! 注目度高まる移住先、軽井沢・御代田町の教育事情
御代田町の小学校の特徴
軽井沢町の西隣、御代田町には公立小学校が2校、さらに今年4月に新たに開校した私立小学校が1校あります。御代田町は町としても積極的に移住者受け入れ促進を行っており、近年加速する二地域居住にも対応可能な、小学校での短期間の児童受け入れといった柔軟な対応実績があります。
< 御代田町の小学校 >
(出典:学区マップ)
北小学校 | 南小学校 | さやか星小学校 | |
1年生 | 39名 | 101名 | 定員28名 |
2年生 | 43名 | 94名 | 定員28名 |
3年生 | 34名 | 105名 | 定員28名 |
4年生 | 47名 | 96名 | 定員28名 |
5年生 | 42名 | 101名 | ー |
6年生 | 50名 | 93名 | ー |
※公立小学校は令和5年4月1日、私立小学校は令和6年4月1日時点
また、「さやか星小学校」は、学校法人西軽井沢学園が運営する私立小学校で、2024年4月に開校しました。2023年に廃校となった学校を校舎として利用し、デジタルテクノロジーと行動分析学を組み合わせた先進的な教育を実践しています。学習・評価・対人関係の「あたりまえ」を見直し、独自開発のデジタル学習支援ツールを活用して、生徒一人ひとりの学習速度に応じた授業を展開します。
カリキュラムには法政大学文学部心理学科の島宗理教授が参画し、行動分析学を専門とした指導アドバイスを行います。また、総合コンサルティング企業のアクセンチュアが事業計画の策定から校舎設計まで約3年間支援してきました。教室数は5学級(1年生~4年生および専修学級)で、第1期生は新1年生から新4年生までの計22名でスタートしました。
注目必至!近隣エリアの人気校
(出典:大日向小学校 公式HP)
佐久穂町にある大日向小学校は、子どもたちの成長を大切にする特別な教育方針を採用しています。この学校では、ドイツで始まった“イエナプラン”という教育法を取り入れています。イエナプランは、一人一人に合わせた個別の指導と、みんなで協力して学ぶ共同学習を組み合わせた方法です。この教育法を通して、子どもたち一人一人が自分で考え行動する力と、仲間と協調する力を育むことができます。
大日向小学校の授業では、子どもたち自身が主体的に学びを進められるように工夫されています。自然豊かな環境を生かして、実際に体験したり実践したりする体験学習や、みんなで協力してプロジェクトを進める学習などが行われています。そうした活動を通して、子どもたちは学ぶことへの意欲を高めていきます。
さらに、この学校では地域社会との関わりも大切にしています。地元の文化や自然を活かしたさまざまな教育活動が行われ、子どもたちは地域に根ざした学びを経験することができます。
また、今年4月に新規開校した「サミットアカデミーエレメンタリースクール佐久」は、私立佐久長聖中学・高等学校の付属小学校であり、日本人としての資質を身につけ、グローバルに活躍できるスキルとマインドを兼ね備え、世界の舞台で自分らしく地球に貢献できる『グローバルジャパニーズ』の育成を掲げています。英語を学ぶのではなく、英語を使ってさまざまな教科を学んでいくイマ—ジョン教育や、課題解決型学習など、国際社会の中で未来を切り拓くために必要な力を身につけていく教育を推進しています。
いずれの学校も県内外をはじめとした志望者からの人気が高く、次年度の入学説明会がスタートしており、今注目を集めている2校です。
小学校卒業後の進路は?
子どもの教育において、小学校卒業後の進路は大きな関心事です。軽井沢町、御代田町にはそれぞれ町立中学校が各1校あります。教育移住を実現したご家族の中には、近隣の公立中学校へ進学するケースが多く、一方では私立の佐久長聖中学校や、群馬県の新島学園への進学、海外移住や首都圏へと戻るケースもあるなど、家庭によって実にさまざまです。
近年、地方移住や二地域居住も推進されていく中で、どんな環境に身を置き、何をどのように学ぶのか、教育環境においても柔軟な選択ができるようになってきています。子どもの個性や学びのスタイルに合わせて、地元の公立中学校に進学するか、都市部の中学校を選ぶか、さらには海外生活を選ぶかなど、幅広い選択肢が用意されています。保護者は子どもの適性や希望、家庭の事情などを踏まえて、最適な進路を見つけていく必要があります。地方と都市部の両方の良さを活かしながら、子どもの可能性を最大限に伸ばせる環境を選びましょう。