農業はコミュティではじめよう!手ぶらで気軽にはじめられる軽井沢近隣シェア畑のススメ
長い冬が終わり、信州にも春の訪れがあちらこちらから聞こえるようになってきました。春を告げる鶯の愛らしいさえずりや、意外にも勇ましい雉の「ケーンケーン」という鳴き声。柔らかな日差しとともに、山々は緑色をまとい、今年はまばゆいピンク色の桜が早めに山から街へと一層美しく咲き誇っています。
目に映るものすべてが、春を感じさせる今日この頃。そろそろ、畑や田んぼ仕事も始動していく時期です。
5月。田んぼ一面に水が張られ、美しい空や山並みが水面に映し出され、まるでアートのような輝きを見せてくれます。ここから数ヶ月をかけ、田畑は実りの秋まで忙しい毎日を過ごしていきます。
せっかく信州に移住するなら、ぜひとも楽しんでもらいたいのが、田んぼや畑仕事。私たちのカラダを作ってくれる源である、「食」も、豊かな自然と気候に恵まれたこの場所なら自分たちの手でつくりあげることができるのです。
土を耕し、ゼロからいきなり自分ではじめるのはちょっとハードルが高い。そんな方におすすめなのが、シェア畑や田んぼコミュニティです。
シェア畑や田んぼコミュニティとは、複数の人が農地を共有し、収穫した作物を分け合う仕組みのこと。シェア畑や田んぼコミュニティに参加することで、自分自身で野菜を育てる手間や知識を持たずに、新鮮で安全な野菜を手に入れることができます。
地元の農家を支援し、地域の食料自給率を高めることができるだけでなく、参加者は、畑での作業にも参加することで、種まきや草取り、収穫作業などを通じて、自然との触れ合いや畑での労働を体験することもできます。何より交流を深めることもでき、地域コミュニティの形成にも繋がります。
実はこのシェア畑は、軽井沢の近隣にも多数あり、移住者はもちろん、移住前からでも気軽に参加することができるのです。
軽井沢・御代田・佐久地域版。コミュニティで農業を始められる場所
都会から離れて手ぶらでふらっと農業体験できる「軽井沢リゾートファーム」は、週末にふらっと、空き時間にふらっと、手ぶらで農業を楽しみたい方、自分の好きな野菜、育てたい野菜を一からご自分のペースに合わせて栽培したい方におすすめ。
講習会や指導員の指導も受けられますので初心者でも安心です。農家さんからのサポートはもちろん、無料でJAさんからのアドバイス講習も受けることができます。
もう少し地域の人とふれあいたいという方には、軽井沢のお隣、御代田町にある「ふれあいファーム」がおすすめ。農作業はもちろん、小さなお子様も土に穴を掘ったり、駆け回っては転んだり、虫を取ったり、花を摘んでみたりと、自然を目いっぱい楽しむことができます。畑を耕し、作物を育てるほか、ご近所さんと物々交換など、ファーム利用者と近隣住人とのコミュニティもしっかりと形成されています。
同じく、御代田町にある「信州みよたクラインガルテン大星の杜・面替」は、御代田町産業経済課農政係が管理している滞在型市民農園です。毎年年度単位で『ガルテナー』と呼ばれる利用者を募り、農業体験や農村体験、地域のかたとの積極的な交流を楽しむことを目的としています。都会にはない自然の魅力や里山の風景、農作業体験や農村交流を通し、田舎を身近に感じられる取り組みとして、移住前の体験の一環として活用する方もいます。
北陸新幹線・佐久平駅でおなじみの佐久市に拠点を置く、『コワーキングスペースiitoco!!』が運営している「うちやまコミュニティ農園」は、【暮らしの中に農をみんなで耕し、みんなで創る】をコンセプトに、同じ区画をみんなで耕し、農作物をみんなでつくるメンバー制の農園を提供しています。
原則4月からの年間契約で、何をつくるかは、メンバーで相談して決定し、できた農作物はメンバーみんなでシェアする仕組みになっています。定期的に種まき・収穫・農作勉強会・採れたての野菜を使ったバーベキューといった交流会などを開催しており、メンバーは自分のペースで参加することができます。
同じく、佐久にある「ヒトツボ菜園」は、農業をしてみたいけれどなかなか1歩踏み出せない方向けに1坪サイズの木枠(レイズベッド)を置き、土を入れてその中で野菜を育てることができるシェア畑を提供しています。微生物を活かした循環型の土を利用し、農薬や化学肥料に頼らない野菜作りをはじめることができます。
4~12月には毎月1回、野菜の栽培方法や気を付けるべき点、日々の管理方法についてなど、農業がはじめての方にも分かりやすいヒトツボ菜園講座を開催し、日頃の疑問や気になる点を解消できるイベントも。イベントによって参加者同士での交流も生まれています。
このように、身一つで手軽にできるものから、じっくり腰を据えて楽しめるものまで、さまざまなシェア畑がありますので、農業がまったくはじめてという方でも、安心して自分に合ったやり方を探すことができます。
一人で始めるなら自治体の共有畑情報もチェック。小さな区画から無理なくまずはワンシーズン経験してみよう
せっかく信州に移住したなら、ぜひともチャレンジしてほしい「農ある暮らし」。この時期には、まずはどんなことから始めたらよいのでしょうか?
長い冬が終わり、そろそろ畑をはじめたい。それにはまず土地の凍結が解け、種まきができる温度になってから開始することが望ましいとされています。
少しずつ春の日差しが長くなってくるこの頃、土の中でも変化が生じています。まもなく訪れる本格的な春の到来に向け、少しずつ微生物たちの動きも活発化していきます。
畑を始めるためには、まずは土地の確保が必要です。自宅の庭にスペースがある場合は、自宅で畑を始めることもできます。
また、地域の市役所や自治体、農協などで提供される共有畑を利用することもできます。野菜や果物は、十分な日光を必要としています。日当たりの良い場所に畑を作り、野菜や果物が最大限の光合成を行えるようにしましょう。風通しの良さも重要です。風通しが良い場所に畑をつくることで、湿気が蒸発し、病気や害虫の発生を防ぐことができます。
場所が決まったら、次に土壌の状態を調べることも大切です。土壌検査キットを用いて土壌のpHや栄養分などを調べ、不足しているものがあれば補充します。そして、畑を始める前に草や雑草を取り除き、石や枝などを拾い集めます。また、土をほぐし、腐葉土や堆肥などを混ぜ込んで、ふかふかの状態にしてあげるなど土壌の質を改善していきます。
最後は種まきや苗植えです。種をまく前に、まずは適切な時期や深さ、間隔を確認します。畝を作ることで水はけがよくなり、種が発芽しやすくなります。草刈り機や鎌、スコップといった必要な機材や畑に必要な肥料は、ホームセンター等で手軽に手に入れることができます。
それこそ、ホームセンターでのガーデニング・農業コーナーの品ぞろえはさすが農業王国・信州さながらといった豊富さです。何を選べばよいか分からない、という方はシェア畑のコミュニティ内で相談したり、店舗スタッフにアドバイスをもらうこともできます。
畑を成功させるポイントは、まずは小さな区画から始めること。持続可能な畑をつくるためには、無理のない範囲でワンシーズンを経験し、実りの秋に収穫物を楽しみ、次の一年はもうワンサイズ大き目な畑に挑戦することが大切です。
ひとりでは不安と言う方も、シェア畑なら安心して始めることができます。日中の寒暖差が大きい信州だからこそ、食物本来の旨味がぎっしり詰まった美味しい野菜が収穫できます。農業の疑問解消や、移住前のコミュニティも同時に楽しめる「農ある暮らし」をはじめてみませんか。