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佐久の原風景に吹く新たな価値観の風。新しい暮らしが見つかる佐久穂町

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暮らしのこと
2021.9.18
2021.9.18

西に八ヶ岳を望み、南北に千曲川が流れる、人口約1万人ほどの佐久穂町。のどかな田園風景を残しながらも、白樺が群生する八千穂高原や、原生林にたたずむ標高2115mの白駒の池など、どこか神秘的な自然の顔を持ち、かねてから人々を惹きつけてきました。

そんな佐久穂町の暮らしには近年、少しずつ魅力的な変化が生まれています。2018年に中部横断自動車道(無料区間)が開通し、町内に佐久穂ICと八千穂高原ICの2つのインターチェンジが誕生。

教育面でも、公立の小中一貫校「佐久穂小中学校」や、日本で初めてイエナプランを導入した私立の「茂来学園 大日向小学校」が開校し、未来を見据えた、先進的な動きが多くみられます。

町内に2つのインターチェンジ。中部横断自動車道の開通でより便利に

東京の練馬ICからは関越自動車道と上信越自動車道を経て車で2時間10分。電車では、北陸新幹線とJR小海線を乗り継いで約2時間。高速道路もJRも、町内までインフラが通っています。

また、町内に中部横断自動車道(無料区間)のインターチェンジが2つできたことで、近隣市町村(佐久市や小諸市など)への移動が便利になりました。新幹線駅がある佐久平駅までは、佐久穂ICから20分程度です。

新しい教育の風が吹く。人と自然に愛されながら育つ町

移住先として人気が高まっている理由の一つが、2019年に開校した、学校法人茂来学園 大日向小学校の存在。日本で初めての、オランダのイエナプラン教育に基づく小学校として、全国から注目を集めています。

佐久穂町の大日向地区は、自然が多く地域や人とのつながりが生きています。異年齢が混ざりあうクラス編成を通して、個を大切にし、お互いに助け合いながら、自発的に学び、成長する、そんな共同体を目指す学校です。

また、3つの町立保育園すべてが、信州やまほいく普及型認定園。長野県が制定した「信州型自然保育認定制度」の認定を受けており、豊かな自然環境や地域資源を積極的に取り入れています。森のようちえんとしてスタートし、2021年度から認定こども園となった「ちいろばの杜」(旧森のようちえん ちいろば)も人気です。地元産のカラマツやアカマツを使用した木造2階建ての園舎、自然と共にある日常すべてが遊びの場。佐久穂の森の中で生きる力をはぐくむこども園です。

冬の寒さは要注意

気候面では、年間平均気温が10℃前後。夏と冬、昼と夜の寒暖の差は大きいものの、晴天率が高いので、一年中、広々とした青空と八ヶ岳の美しい風景が望めます。寒気の厳しい冬期を除けば、暮らしやすい環境です。

積雪は年数回で5~30cm程度、30cmを超える雪は年1~2回程度です。冬場は最低気温が氷点下10℃を下回ることもあるので、寒さに備えた暮らしが必要となります。家づくりにおいても、この厳しい環境をしっかり理解している工務店を選ぶことが大切です。

こういった環境なので、水道光熱費は、季節や地域によって費用の違いも見られます。寒さの厳しい冬期の光熱費は都市圏に比べて高くなる場合もあります。夏はとても過ごしやすいです。温暖化の影響で、エアコンを設置する家は増えましたが、涼しく抜ける風を上手に利用すれば、日中でもエアコンなしで過ごせる日がほとんどです。

買い物、医療、文化、暮らしの丈に「ちょうどよい」がそろう

佐久穂町での生活。日常の買い物は、県内を中心に展開するスーパーマーケット「TSURUYA(ツルヤ)」と「ユーパレット」があります。TSURUYAは、信州産の素材にこだわったオリジナル商品が充実しており、観光客にも人気です。ユーパレットは、全国展開の「業務スーパー」と提携しており、豊富な種類の冷凍食品などもそろっています。TSURUYAに隣接した「佐久穂町農産物直売所(まちの駅)」では、町で生産された新鮮な野菜、果物、パン、加工品などがそろいます。

医療面では、内科や外科など9つの科がある「佐久穂町立千曲病院」をはじめ、個人院も各地域に。佐久穂町では予防医療に力を入れており、町民は人間ドックで町からの補助を受けられます。集団健康診断では、子育て中の女性が受けやすいように託児サービスも。暮らしの丈に合った文化施設も魅力的です。

図書館、公民館、大ホールが併設された「佐久穂町生涯学習館 花の郷・茂来館」は、エントランスホールがコミュニティカフェになっており、気軽な集いの場として人気です。おすすめは、さまざまなフルーツを使ったシフォンケーキ。こどもセンター「さくほっこ」は子育て世代にうれしい施設。児童館・学童としての機能に加えて、乳幼児が安心して遊べるプレイルームがあり、カフェのような居心地の良さは、町内外の子育てママから人気です。(※現在は新型コロナウイルスの影響で町民のみの利用となっています)

移住者、地元町民が垣根をはずして取り組むコミュニティづくり

佐久穂町では、自発的なコミュニティを大切にして町をつくっていく「コミュニティ創生戦略」を行政として掲げています。町内外に住む者同士が、お互いに心地よい距離感でつながり合いながら、安心に暮らしていける地域を目指しています。そのつながりを見つけるきっかけの一つが「さくほリビングマーケット」

地元町民、移住者の垣根をはずして、一緒に「リビングマーケット=暮らしの市場」を企画・運営しながら、新たな挑戦等を通して出会いの場をつくっています。

移住者による続く開店。新たな風が通り抜ける「東町商店街」

新規就農の人気が高い地域であることから、就農に関する支援はもちろん、町内で新たな事業を始める際の補助金や創業塾の開催など、創業支援なども整備されています。空き店舗が目立っていた町内の東町商店街では、近年、移住者による新たなお店の開業が続いています。

体験型ジュエリー工房 GURURITO(グルリト)

2021年6月、東町商店街にオープンした「GURURITO(グルリト)」は、洋品店だった空き店舗を改修した体験型のジュエリー工房。シルバーリングや結婚指輪などを、お客さんが手作りするワークショップ型で、東京から移住してきた藤森隆さん、平野卓さん、平野未希さんが共同で経営しています。

店のシンボルにもなっている大きな囲炉裏。この重厚な木製のテーブルは、お客さんの作業台として使われています。実は佐久穂町にかつてあった「臼石荘」という宿泊施設から譲り受けたもの。三人の個性的な作品がならぶショーケースも、洋品店のものを活用しています。

「店内の至る所に、元の洋品店をはじめ、町内のいろんな方から譲っていただいたものが使われているんです。家がもっているあたたかみってありますよね。元々、人の暮らしの一部だったものだから落ち着く空間になっているのかな」平野卓さん。

「町内にいろんな価値観の人がいて、それぞれゆるやかに繋がっている感覚がある。佐久穂町というコミュニティの中で生きているんだなという実感があります。ゆったりとした生活。やっとちゃんと“田舎”に来れたなと(笑)」藤森隆さん。

「約束しなくても、町の中でふらっと知り合いに会うことができる。手を挙げて挨拶し合う感じ。それが心地よいんですよね。ほどよい距離感の中で、人とのふれあいっていいなと、しみじみ感じています」平野未希さん。

新駒書店

翻訳出版プロデューサーの近谷浩二さんが、食堂を改装して夫婦でオープンした古本屋。「じっくり選んでもらいたい」という思いから、靴を脱いで座れるスペースがあり、時間をかけてお気に入りを見つけることができる書店です。

カレー屋ヒゲめがね

元食品メーカーの店主、豊田陽介さん夫婦が営むスパイスカレー専門店。スナックを改装した店内は、照明器具やカウンターの雰囲気など、どこか懐かしさも。口コミから人気が広がり、平日でも列ができるほど。

町の中に新たな拠点が生まれることで、老若男女、古今東西、垣根をこえた新たな循環がはじまる――。そんな、活気の源が、東町商店街には生まれています。

ここ数年の佐久穂町の変化は、地元に住んでいても肌で感じるものがあります。まだまだなにかが始まる予感。背伸びせず、それぞれの持つ価値観が自然に交わる佐久穂町で、新しい暮らしを見つけてみませんか。

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