冬こそ「暮らし」を楽しもう。信州の冬がもっと好きになる、丁寧な暮らしのエッセン ス
朝陽が昇る。吐く息は白く、キリっと身が引き締まるほどの寒さ。標高の高いエリアでは、時に外気がマイナス15度まで下がり、真冬の期間は日常的に氷点下の日々が続きます。時折舞う真っ白な雪。秋に葉を落とした木立を雪化粧が美しく彩ってくれます。
避暑地の冬は寒くて大変。これは事実です。だけど、信州の冬は寒くて大変なだけじゃない。この土地ならではの日々の暮らしを楽しむ、冬の過ごしかたがあります。今回は信州の冬がもっと好きになる、DEFがおすすめする冬の楽しみ方をご紹介します。
春を待つ。冬のうちにやっておきたい、滋養豊富な保存食づくり
信州の春は4月。草花が冬眠から目を覚まし、少しずつ森に彩りが戻ってきます。動物たちも草木の芽吹きに誘われて、巣穴から顔を出したり、小鳥たちは春嬉しと囀り始めます。
この4月の春先までおよそ5ヶ月も続く、長くて厳しい冬だからこそ、家時間の過ごしかたはとても大切になってきます。外は寒い氷点下。そんな時期は、春夏秋と忙しくてなかなかできなかった「手仕事」を楽しむ絶好のチャンスです。
例えば、あると嬉しい季節の野菜や果物を活かした保存食づくり。保存食は、よい状態で食材を長期間保存でき、調理の手間が省けるといった古くから伝わる知恵と工夫がたくさん詰まった調理法です。
冬の鍋にも大活躍の大根も、実は越冬に最強の冬野菜です。収穫して洗った大根をカットし、軒先に吊るして1週間ほど乾燥させ、たくわんやハリハリ漬けにするなど、冬の恵みを長く楽しむ保存食づくりに最適です。
冬が旬の「金柑」と「蜂蜜」、「生姜」をつかった金柑シロップや甘露煮は、風邪予防や喉ケアにも重宝されているアイテムのひとつです。また、長ネギも11月~2月が旬の野菜で、長ネギのマリネやネギ塩ダレなど、あと一品欲しい時に嬉しいメニューも。
伸びる家時間。読書や金継ぎ、趣味に没頭し、新たな楽しみと出会う
秋が終わると、日を追うごとに陽が沈む時間が早くなり、反対に夜の時間が長くなります。冬の短日、日中は何かとせわしなく過ごしていても、夜だけは自分の「好き」と向き合える時間が生まれるという人も多いのではないでしょうか。
そんな自分と向き合える時間におススメしたいのが、穴があいてしまったセーターや靴下など好きな糸で素敵に繕うダーニングや、欠けてしまったお気に入りの器をよみがえらせる金継ぎなど、趣味に没頭したり、新たな楽しみと出会うことです。
じっくりと書を読みふける、手すきの和紙で凧を作ってみる、竹炭で御餅を焼く、お漬物を作ってみる、どんな小さなことでも大丈夫。冬だからこそできる、丁寧な暮らしを楽しんでみましょう。冬は次にやってくる春に向けての準備をはじめたり、落ち着いて物事を整理して今後の暮らしのことを考えるいいタイミングです。
寒い冬こそ薪割りが楽しい!薪活はコミュニティになる
寒いのが大の苦手…ではない方限定ですが、思い切って外で薪割りするのも楽しいもの。
日課になれば体力もつきますし、ふと休憩して外を見渡せば、冬だからこその雪景色や澄んだ空気の奥に見える山々の姿に圧倒されたり。来年の薪づくりも見据えて冬のエクササイズはいかがですか。
薪のある暮らしがグッと身近になる季節だけに、地域の中で情報交換も活発になる傾向があります。普段、薪やストーブについて考えていることを発信したり、木の調達方法などを質問することで人との繋がりが生まれ、コミュニティに参加するきっかけになることも。
また、薪ストーブユーザーでなくても、薪づくりや地域資源の循環に興味がある方も参加できます。実際に、地域の環境整備に向けて薪活動をしているコミュニティもあるので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
日帰り温泉も充実!疲れた体を温め、癒す信州の温泉巡り
避暑地としてのイメージが強い信州ですが、実はいたる所に温泉が充実しています。
例えば、軽井沢エリアでは別荘地として有名な千ヶ滝にある千ヶ滝温泉は美しい自然に囲まれた天然温泉で、フィンランドサウナも併設。大正四年に開湯された、源泉かけ流しの名湯「星野温泉 トンボの湯」は、源泉かけ流しで飲泉も可能なほど良質な泉質を楽しめます。
八ヶ岳エリアの茅野市には、旅館に併設された温泉以外に公共の日帰り温泉施設が7つもあります。25mの室内温水プールが完備されている「アクアランド茅野」、露天風呂から八ヶ岳や北アルプスが望める「玉宮温泉 望岳の湯」、近くに尖石縄文遺跡があり、湯量も豊富で温泉スタンドも設けられている「尖石温泉 縄文の湯」、約42度の温泉と約35度の冷泉の交代浴が楽しめる「米沢温泉 塩壺の湯」など。さまざまな設備や泉質、環境を楽しむことができ、市民だともっとお得に温泉に入れるのも魅力です。
また、安曇野エリアでは穂高温泉郷という北アルプスの麓に広がるのどかな温泉郷があります。まろやかな肌触りが特徴で、湯上り後は肌がツルツルになると評判のお湯です。日帰り温泉施設として2016年にオープンした「安曇野 しゃくなげの湯」は、さまざまな種類の内湯や露天風呂、地元食材を使ったお食事処などがあり、一日ゆったりと天然温泉を楽しめる人気の温泉スポットです。
夏のシーズンには観光客で混み合う温泉も、シーズンオフの平日には貸し切り状態になることも。あたたかい温泉で、日常の喧噪から離れてゆっくりと、自分の心も体もリトリートする時間を過ごすのもいいですね。
寒いだけじゃないのが信州。冬ならではの楽しみかたがたくさんあります。冬こそもっと暮らしを丁寧に、もっと暮らしを楽しみたい。今年こそ、信州の冬がもっと好きになるような、自然につながる暮らしをはじめてみませんか。