Staff Interview
大工インタビュー
- 大工
- 巾 和史(はば かずふみ)
美しい仕上げの秘密は、木と交わす“会話”。
アトリエデフの家は、とてもてまひまのかかった家です。木を選び、大工が手で刻みで加工し、木材を一本一本組み立てていきます。今の住宅は工業化されていてプレカット材を何も考えずただ組み立てるだけ。便利ではありますが、単調です。しかし我々の仕事は違います。作業の順序を考える力や、木の特性を見極める目利きとしての経験、そして木の個性にあった最適な加工を施す技術といった、さまざまなものが要求されます。私自身、工業化されたやり方で家を建てる工務店に勤めたことがありますが、ただ作業をしているという感覚しかなく、面白みを感じませんでした。しかし、ここでは大工として自分の作業一つひとつに確かな実感があります。
中でも、木と対話するのは一番楽しい時間です。木は一つとして同じものはなく、同じ寸法で作っても表情や目の細かさなども全てが異なります。木の個性を読み取り、会話をするように木に向き合い、加工をしていく作業はワクワクします。そして、イメージ通りに仕上がったときは「やったー!」と大きな歓声をあげたくなるほど、嬉しくなるのです。
伝統的な大工の技を、後世に伝えていきたい。
大工にとって技術は生きる糧ですが、アトリエデフは日本の伝統的な技術や素材を使って家を建てることで、この伝統技術を残し、伝えていこうとしています。だから会社では経験豊富な大工に仕事を依頼すると同時に、自社でも大工を養成しています。私は中途採用の大工ですが、新卒の大工も増えてきており、中には女性もいます。こうした若手に私も自分の技術を伝えていかなければなりません。大工は「自分はこれが好きだから」、と限られたことだけをやっていたら多くの技術が途絶え、後世に伝わりません。多くを伝えられる大工になるため、私も技術にもっと磨きをかける必要があります。今後も真摯に木に向き合い、努力していきたいと思います。
この会社にいる人は、環境配慮や循環、手仕事といったことが大好きで、皆が向いている方向が同じです。だからこそ居心地が良く、気持ちよく仕事ができます。以前、市の中心部の工務店で単調な作業に疲れていた頃は、周囲にもそれが伝わっていました。今は家族にも「顔がおだやかになったね」と言われます。それだけ充実した仕事ができている証拠でしょう。モノづくりを存分に楽しみ、心地よい環境の中で技術を身につけられる今を、とても幸せに感じています。