軽井沢の暮らし〜ライフスタイルと共に変化を楽しむ庭づくり〜
軽井沢は、昔から長野県を代表する観光地や避暑地として有名ですが、移住先としてもとても人気の高いエリアです。
軽井沢に訪れた人の多くは、街中を車でドライブしたことがあると思いますが、移住後の暮らしを意識しながら巡ると、また違った景色が見えます。
自然が多く残る軽井沢ですが、別荘地や住宅地を見渡すと家や庭の様子から、暮らしの中で作られた「自然」にたくさん気がつきます。家の雰囲気とセットで作り込まれた庭や庭師が手がける美しい庭もあれば、住まう人が自分の手をかけて育てた個性的な庭や、自然がそのまま覆い被さったような緑で包まれている庭もあったりと、手の混み具合もそれぞれです。
軽井沢の特徴ある気候風土の中で庭を維持することは、とても大変なことではありますが、長年手をかけていると、自分なりの庭との付き合い方が見えてきます。
そんな軽井沢での庭づくりについて、ライフスタイルの変化と共に、長年試行錯誤を続けているご家族を訪ねました。
はじめは、シンプルな庭づくりから
15年前、都内から軽井沢に移住したEさん。
広い敷地の1/3程度を住宅部分とウッドデッキにして、庭は作り込まず、デッキ前には広い芝生を敷いて、まだ小さかった子どもたちが庭を思いっきり走り回れるようにと考えました。駐車場には自然の雰囲気と馴染むよう丸太を敷き詰め、玄関へのアプローチにいくつか樹木を植えたのみの、とてもシンプルな外構でした。
東京から軽井沢に移住したばかりで、こちらの風土の暮らしが慣れていないこともあったので、東京での暮らしの感覚から軽井沢での暮らしに、いろいろなことに挑戦しながらまず慣らしていこうと考えました。
当時は、周辺に子どもが遊べる公園も少なく、子どもたちの友達もたくさん遊びにきました。みんなで広い庭を走り回っていたので、すぐに芝がダメになってしまうこともあり、その度にご主人が、寒さにも強く耐久性もある芝にと、何度か芝生を張り替えたそうです。
また、初めは家庭菜園をやろうと思い立ち、庭の角に畑を設けましたが、軽井沢の寒さや日照時間の短さ、隣地の大きな庭木の日当たりの悪さから、うまくいかず断念したこともありました。
ライフスタイルの変化に合わせた庭へ
子どもたちが大きくなり、走り回れる庭が必要なくなったので、Eさんは庭を再計画することにしました。
軽井沢での暮らしに慣れてきたものの、仕事もしていましたし、まだ子育てがなくなったわけではないので、自分たちが手をかけられる時間を考慮して計画しました。
地元の造園屋さんに依頼し、花壇や石畳、パーゴラなどを作り、新たに車庫も作り替えました。
これまで自分たちでやってみた経験から、必要なものや欲しい場所を増やし、また植えられる木や花を改めて相談することができ、ますます庭づくりが楽しくなりました。
それからさらに月日が経ち、子どもたちも独立し、今はご夫婦で暮らしています。
お仕事はまだしていますが、以前ほどの忙しさもなくなり、暮らしに手をかけられる時間が増えたそうで、花壇で本格的なガーデニングをはじめてみたり、緑が映える西洋芝を新たに張り替えたりと庭づくりに勤しんでします。
家庭菜園への再挑戦
また、越してきた当初うまくいかなかった家庭菜園ですが、数年前に木々が伐採され、日当たりが改善されたので、改めて再挑戦することにしました。
寒冷地である軽井沢ではできる野菜も限られていますが、日々の天気や気温を気にかけたり、野菜の成長の様子を観察したりと、畑と向き合う時間がとても有意義だと話してくださいました。
畑で収穫した野菜を使ってつくる料理は、買ってきたものに比べて、美味しさが一味違います。
食べたい野菜を自分たちで育てることで、土づくりなどの畑の環境にも視野が広がり、ますます自然との繋がりを感じられるはず。
まだまだ2年目ということもあり、思ったように苗が育たなかったり、野菜の収穫ができなかったりと試行錯誤は続きますが、「今年は枝豆も少しできたね」「梅雨の長雨でトマトが割れてしまったね」など畑での日々は、発見に溢れています。
そして、「来年こそは・・・」と翌年の畑づくりへの意欲にも、つながっているそうです。
軽井沢でつくるオリジナルの暮らし
軽井沢の気候風土と周辺の環境、そして、自分たちのライフスタイルと折り合いをつけながら、試行錯誤を繰り返し、少しずつ私たちらしい庭づくりを進めてきたEさん。
暮らしに合わせた庭づくりは、これからも変化し続けます。
軽井沢での暮らしには、決まったセオリーがあるように思われる方もいるかもしれませんが、自分たちの手で自然と向き合いながら作っていくこともできます。
長い年月をかけて、その土地の気候風土とライフスタイルに寄り添う庭づくり。日々の発見や学びが、より一層暮らしを豊かにしてくれるはずです。
ぜひ家族で楽しんで、オリジナルの暮らしを描いてみてはいかがでしょうか。