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荒れた竹林がもたらす環境問題

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なんくる
八ヶ岳営業所

かつて日本人の暮らしと深く関わっていた竹。農具や日用品、建材、食器など、日常のあらゆる場面で竹は活用されてきました。日本の風土に合った素材として、竹は軽くて丈夫、再生も早く、まさに「循環型資源」の代表だったのです。そんな竹林も、昔は地域の人々が定期的に手入れをしていました。しかし、時代の変化とともに私たちの暮らしは大きく様変わりし、プラスチック製品や安価な輸入品が生活に浸透していくことで、竹の需要は急速に減少していきました。

その結果、かつて整備されていた竹林の多くが放置されるようになり、全国で「放置竹林」が深刻な問題として広がりを見せています。一見、自然豊かに見える竹林も、実は人の手が入らなければ、すぐにバランスを崩し、環境に悪影響を及ぼしてしまうのです。



生態系への悪影響

竹は成長が非常に早く、特に真竹や孟宗竹は地下茎を広げてどんどん広がっていく性質を持っています。放置された竹林では、こうした竹の繁殖が制御されないため、周囲の森林や里山へ侵食してしまい、もともと生えていた在来種の植物を駆逐してしまいます。

その結果、日光が地面に届かなくなり、地表の植物が枯れて土壌の保水力が低下。雨が降るたびに土が流されやすくなるなど、土壌環境の悪化も引き起こします。竹だけが生い茂る森は、種類が限られた昆虫や動物しか棲めず、かつては多様な生物が暮らしていた場所が、単一の植物しかない“緑の砂漠”のような状態になってしまうのです。

さらに、竹の密集が進むと倒竹も増え、それによって他の植物が圧迫され、より一層多様性が失われていく悪循環に陥ります。



景観・防災への影響

放置された竹林は、その土地の景観を大きく損ないます。整備された里山のような風情は失われ、背の高い竹が密集し荒れ果てた印象を与えることで、地域の魅力が低下してしまうのです。観光地にとっては死活問題とも言えますし、移住希望者や訪問者に与える印象も大きく変わります。

また、防災面でも見逃せないリスクがあります。竹は風に弱く、台風や強風で簡単に倒れてしまいます。倒れた竹が電線を切断したり、道路を塞いだりすることで、停電や交通麻痺を引き起こすケースも少なくありません。加えて、竹の根は地中深くまで張らないため、急斜面での竹林化は土砂崩れの危険性を高めることにもつながります。特に、住宅地の背後に放置竹林がある場合、そのリスクは非常に深刻です。



未来への選択肢

では、こうした放置竹林の問題にどう向き合えばよいのでしょうか。私たちができることは、竹林を「害」と見なすのではなく、積極的に「資源」として再評価していくことです。

手入れされた竹林では、春にはタケノコが収穫でき、地元の特産品として活用することができます。また、竹は加工次第で、食器や家具、建材、アート作品にまで多彩な用途が広がる素材です。さらに近年では、環境にやさしい代替素材として世界的にも竹への注目が集まっています。

地域住民が協力して竹林を整備し、竹を活かした商品づくりや観光体験に取り組む事例も増えてきました。こうした循環が生まれることで、環境保全だけでなく、地域活性にもつながります。

荒れた竹林に向き合うことは、単に環境問題の解決にとどまらず、「人と自然との関わり方」を見つめ直す機会でもあります。放置するのではなく、活かしていく。そんな未来志向の選択肢が、今、求められているのです。



 

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