どうして移住されたのですか?
「山に登りたかったから。学生の頃から登っていて、信州には年に何回もきていたんです。でも移住したら、登る回数が減りました。
山は朝の空気が都会の空気と全然違う。その空気が好きで登っていたけど、こっちにきたら朝の空気が毎日それだから、非日常が日常になり、贅沢に慣れちゃってます。(笑)」
いつ移住を考え始めましたか?
「ずっと前から定年したら来ようと思っていました。だけど、いろいろあり、早期退職して来ることを決めました。予定より、7年も早かったかな。でも、田舎の生活は体力勝負だから、逆によかったと思う。60歳で移住してきてたらハードだったかも。。薪の調達とか。
移住すると決めて退職してから、土地探して、DEFと出会ったのは、移住する8カ月前。移住の目的が『山に近いところで暮らす』だから、場所はある程度絞られてましたね。退職して土地を探し始めて、毎週長野に通い4か月後に土地を決めました。」
土地の決め手は何ですか?
「お隣さんがいい人だったということ。同じような境遇の移住の方で、親切なお隣さんです。そして、民家が全くないような場所は考えてなかったので、町から離れすぎた場所でもなく、かといって昔からの地元の集落でもない場所がいいなと思ってました。今の時代、買い物はインターネットでできるけど、病院が遠いと心配だから。地元の集落のちょっと上くらいに決めました。」
早期退職されて、その後の経済的なことは。。
「移住しようと決めてから、お金の計算はしっかりしました。共働きで、二人暮らしというのも大きいと思います。田舎はお金をかけなくても、割と楽しく暮らせます。都会だと、遊ぶのにお金が掛かるけど、こっちは家の周りを散歩するだけでも楽しい。そして、毎日いろいろと忙しくて。花を植えるのに庭の石を拾ったり、ピザ窯を作ってみたり、サンルームを作ってみたり。やりたいことが次々出てくるから。じっとしてる暇なんて、ないの。(笑)」
移住で心配だったことはないですか?
「山登りが好きだから、寒いのは知っていたので、断熱材と窓ガラスの仕様はしっかりしました。」
都会のマンションに暮らしていた時にはなかった、近所づきあいはどうですか?
「思いがけないところで広がってく、そんな繋がりを楽しんでいます。公民館でヨガしたり、そこで知り合ったおばぁちゃんにアクリルたわしの編み方を教わったりね。今は、図書館で見つけたチラシが切っ掛けの自然農法の田んぼが楽しいですね。いろんな人と出会って、田んぼで世界観が変わりました。」
住んでみてどうですか?
「部屋が温かいです。あと、4年半も経ってきたので、床や梁がいい色になってきました。そして木の家に住んで変わったことは、他の家に行った時に匂いが気になるようになりましたね。接着剤の匂いっていうか。自分の家では、感じないですが、木の家じゃない他の家だと不思議と感じます。逆に遊びに来た人から未だに言われるのが、自分じゃ分からない、木の香りがするということです。確かに、家の中に居ても、外の空気と同じ空気を吸っている感じがあって、気に入っています。マンション暮らしだった頃には、気にしたこともなかったです。」
これからやってみたいことを教えてください。
「自給自足を目指したいなぁ。エネルギーも。あと、ヤギも飼ってみたいです。周りに左右されることなく、自分たちでどうにかできたらいいな。毎年、何か新しいことが自然と表れてきて、やってみようと動き出すと、分からないとこに繋がって行き面白いです。家の裏の薪小屋にはソーラーパネルも作りました。
正直、これから20年後に同じ体力があるかは分からないけど、やれるうちは、こんな感じで色々とチャレンジしていきたいですね。」