インターネットや本で調べたり、試行錯誤しながら少しづつ庭を整備していく毎日。現在製作中の石窯はもうじき完成!ダッチオーブンを入れて、料理をするのが楽しみです。
移住先にこの場所を選んだ理由を教えてください。
「山が好きだから、山の見えるところに住みたかったんです。高校時代に登った八ヶ岳が記憶に残っていたので、休みの度に車を走らせて、キャンプをしたり、旅行気分で土地を探していました。周りに何もない森の中を考えていたけど、子どもたちが学校に通える距離じゃないといけない。ここに住むことを決めるまでには3、4年かかりましたね。カラマツの森の中にあって、大きな声を出しても平気だし、落ち着ける場所です。」
子どもががいて、今までの生活があって。それでも移住しようと思ったのはなぜですか?
「全く別の世界に子どもたちを放り込んでみたかったんです。整えられた環境の中で暮らすのとはまた違った視点が持てる、と。私たちも、何でもある町では感じることのできない『苦労』や『足りない』ということを自分で感じてみたいと思いました。
遊びに来るのと、生活するのとでは、子どもたちの経験することが全く違います。移住した当初は環境や生活の違いに戸惑いもありましたが、今は遊びや自然を楽しんでいます。」
家を建てた時と実際に住んでみての違いは?
「環境、気温、天候、1年の巡り方。情報はあっても、暮らしてみないとどうなのかわかりません。子どももこれから成長していくので生活も流動的です。だからあまり細部にこだわらず、とりあえず建ててみようという感じでした。暮らしていくうちに、ここはこうすれば良かった、というところが出てくるのは当然だと思っています。デフさんに提案してもらったシンプルに暮らす、物を減らす、というのが実際は難しくて……どんどん物が増えて、収納が追いつかないので自分で物置小屋を作ったり。
吹き抜けも開放的で良かったのだけど、子どもが成長してきてプライベートエリアも欲しくなったので、思い切って塞いで2階にスペースをつくりました。そうやって生活していくのかな、と思います。」
家の住み心地はどうでしょう。
「八ヶ岳の冬は氷点下15度なんてこともありますが、とにかく家の中が暖かい!薪ストーブ1台だけで1階から2階まで、家の中全部が暖かくなります。夜、ストーブを消しても朝まで暖かい。以前の家は朝冷え込んで、なかなか布団から抜け出せなかったりしたけれど、寒い八ヶ岳に来てから、朝起きるのが楽になりました(笑)。」
八ヶ岳での今の暮らし、これからの暮らしについて教えてください。
「今は1日があっという間に過ぎていきます。子供を学校に送迎して、花を植えるために石を拾い、薪を割り、夏は草を刈って、冬になれば雪かきをして、時には野山を歩きます。良い所も悪いところも含めて、今の生活には比較的満足しているのかな。
まあ……それも元気だからやっていられることで、家族が健康でないと、ここでの暮らしはなりたたないかもしれません。
でも、四季を通じて周囲には圧倒的な自然の美しさがあり、森での暮らしは毎日が新しい発見です。今日想像しない明日があるという事を実感しつつ、楽しんで生活していきたいです。」
吹き抜けを塞いでも、太陽の光は家の中まで十分に届きます。
薪が積まれた広い庭。ここでは、鹿が現れることも日常。巣箱には小鳥もやってきます。